ホスト:こんにちは。今日の深堀へようこそ。えっと。 突発性難聴になった後ですね。病院での治療が終わっても、どうも聴力が戻りきらないとか、耳鳴りが止まないとか。あとは耳が詰まった感じがずっと続くなんて言う悩み、抱えていませんか?発症してから時間が経っちゃって、もう半ば諦めてるみたいな。今回提供いただいた資料には、そういう状況に対して、ちょっと標準的な治療とは違うアプローチが紹介されているんですよね。
ゲスト:ええ、そうですね。
ホスト:資料を読んでみると。問題は単に耳が聞こえにくいってことだけじゃなくて、むしろ左右の聴力のバランス。これが、微妙に崩れることで脳が混乱しちゃうと。
ゲスト:はい
ホスト:それがまあ、耳鳴りとか他の不快な症状を引き起こす一因になってるんじゃないかっていう見方ですね。
ゲスト:うんうん。
ホスト:あと、普通の聴力検査だと異常なしって言われちゃうような、いわゆる隠れ難聴。これについても触れられていますね。
ゲスト:ええ。あの、そこが、非常に興味深い点ですよね。左右の耳から入ってくる音の情報にまあ、ずれが生じると。
ホスト:ずれですか?
ゲスト:はい。そうすると脳がそれを一つにまとまった音のイメージとしてうまく統合するのが難しくなって。まあ、いわば混乱するっていう理屈みたいですね。
ホスト:なるほど。脳が混乱する。
ゲスト:で、隠れ難聴というのはおっしゃる通り。普通のあの~いわゆる健康診断とかでやるような聴力検査はクリアするんだけど。
ホスト:ええ。
ゲスト:でも例えば騒がしい場所だと聞き取りにくいとか。 特定の状況でなんか困難を感じる。そういう状態を指していると考えられますね。
ホスト:うーん。確かにそういう経験はあるかもしれません。じゃあ、その脳の混乱に対して、資料ではどういう解決策を提案してるんでしょうか。
ゲスト:それがですね、音響療法と呼ばれるものなんです。
ホスト:音響療法。
ゲスト:ええ。資料によれば、もう30年ほどの実績がある脳に働きかけるリハビリテーション。まあ、言ってみれば脳の再トレーニングだと、そういうふうに説明されていますね。
ホスト:脳の再トレーニングですか?へえ。
ゲスト:はい。ただ単に耳に音を入れるっていうんじゃなくて、脳が音をどう処理しているか? その処理の仕方に働きかけるっていうのが特徴みたいです。
ホスト:なるほど。具体的にはどんなふうに進めるんですか?なんかオーダーメイドのCDを使うとか書いてありましたけど。
ゲスト:あ、その通りです。まずその方の聴力をかなり詳細に測定するみたいですね。
ホスト:はい。
ゲスト:で、低下してしまっている特定の周波数、音の高さですね。そこだけを、まあ、特別に強調した音楽CDを作ると。
ホスト:ほう。
ゲスト:例えば資料にあった例だと、モーツァルトの四重奏とかを使って、あなた専用のCDを作成するということらしいです。
ホスト:自分だけの特別なCD。 それをじゃあ、どう使うんですか?普通に聞くだけなんですかね。
ゲスト:あ、ここが一つ面白いポイントなんですけど。資料によるとですね。骨伝導ヘッドホンを使うと。
ホスト:骨伝導?あの耳を塞がないタイプの?
ゲスト:ええ、そうです。 これは外耳とか中耳、つまり普通の音の通り道を。まあ迂回してですね、音の振動を直接、内耳、そしてその先にある脳に届けようっていう、そういう工夫なんだと思います。
ホスト:なるほど。
ゲスト:で、その特別なCDをその骨伝導ヘッドホンで聴きながらですね。特定の楽器の音、例えばバイオリンの音が右から聞こえるか、左から聞こえるか? それを聞き分けるっていう訓練を行うと。ありますね。
ホスト:聞き分ける訓練。え、それってつまり、脳に左右の音のバランスをもう1回こう認識させるみたいな。そういうことですか。
ゲスト:まさにそういうことだと思います。片方の耳からの情報がもし弱くなっていても、脳の中でそれを補ってですね。 ちゃんと、左右のバランスがとれたステレオの情報として再構築する能力。
ホスト:うんうん。
ゲスト:つまり、脳がもともと持っている適応能力とか可塑性って言われる力。それを引き出すことを狙ってるみたいですね。 失われた音の情報を脳が自分で補うように、こう促していくというわけです。
ホスト:なるほど。脳の力を引き出すと。でもええと、それって本当に効果?って期待できるんでしょうか。特に発症してからもう結構時間が経っちゃってる場合とか、ちょっと心配になりますけど。
ゲスト:ええ。そこはうん。一番気になるところですよね。
ホスト:はい。
ゲスト:資料にはですね、発症から例えば6カ月経過した方でも、この療法によって聴力が改善したという例が挙げられていました。
ホスト:6カ月経ってても。
ゲスト:ええ、グラフも載ってましたけど、治療を始めてからだいたい3カ月半くらいで聞き取りにくかった。低い音域の聴力が正常範囲とされる30dB、まあ、一般的に軽度難聴の境界がですね。そのあたりまで回復したっていうケースが示されてましたね。
ホスト:30dBまで回復。それはすごいですね。時間が経つと治りにくいってよく聞くんで、ちょっと希望になりますね、それは。
ゲスト:そうですね。
ホスト:他に実感として何か良い変化とかは?
ゲスト:あとはやはり耳鳴りが気にならなくなったとか、音の方向感覚が良くなったっていう声もすごく重要だと思います。
ホスト:ああ。方向感覚。
ゲスト:ええ、資料にあった大工さんの話、あの~釘を打つ音が頭にガンガン響いて、仕事もちょっと難しくなってた方が改善したっていうのは、単に聴力が改善したっていう数字以上の、やっぱり生活の質、QOLの大きなインパクトを示している例かなと思いますね。
ホスト:確かに、日常生活への影響って大きいですもんね。 ところで、この音響療法だけですべてが解決するっていうわけでもないんですよね。たしか鍼治療とか他の検査の話もちょっと書いてあったような気がするんですが。
ゲスト:あ、ええ、おっしゃる通りです。資料では、より全体的なホリスティックなアプローチも示唆されていますね。
ホスト:はい。
ゲスト:この音響療法と並行して、例えば鍼治療を行ったり、あとは原因をもっと深く探るために、六つの専門的な検査、時間の機能とか、血流の状態、ストレスの度合い、体の歪みとかですね。そういう検査の結果も参考にしたりするようです。
ホスト:なるほど。いろいろな検査もするんですね。
ゲスト:ええ。これらはおそらく、音響療法の効果をより高めたり、あるいはその人その人に合わせた最適なアプローチを見つけるために行われるんじゃないかと考えられますね。
ホスト:うーん。つまり、一つの方法だけに頼るんじゃなくて、多角的に原因を探って、いろいろなアプローチを組み合わせていくっていうことなんですね。
ゲスト:まさにその通りだと思います。 この深掘りから見えてくるのはなかなか改善しない。持続する聴覚の問題に対して、耳そのものだけじゃなく、脳の解釈っていう側面からアプローチする。その可能性ですよね。
ホスト:脳の解釈ですか?
ゲスト:ええ。耳自体のダメージがきっかけだとしても、それによって引き起こされた脳の反応パターン。それを変えていこうっていう試みと言えるかもしれません。
ホスト:うんうん。
ゲスト:そして、やっぱり重要なのは。 たとえ発症から時間が経過していても、脳が持っている変化して適用していく力、つまり可塑性ですね。そこに働きかけることで改善の道を探っていくという、そういう視点なんだと思います。
ホスト:脳の可塑性、諦めなくていいかもしれないと。
ゲスト:ええ。
ホスト:では、最後に、これを聞いているあなたに一つ問いかけをして終わりたいと思います。 もし、あなたが今聞いていると思っているこの世界の音が、実はあなたの脳の解釈次第で良くも悪くも変わり得るものだとしたら、それは一体どんな可能性を秘めているでしょうか。