ホスト:こんにちは。今回はですね、診断が非常に難しいとされる外リンパ瘻について、あなたが共有してくれた資料、「月刊エントーニ"どう見分ける外リンパ瘻"」、「月刊エントーニ"外リンパ瘻の診断と治療"」、それから「森上鍼灸整骨院の治療に対する考え」、これを一緒に見ていきましょう。この外リンパ瘻って、まあそもそも何なのか、なぜ診断が難しいのか、そしてCTPっていう画期的な診断マーカーの話から治療法、さらにちょっと違う視点まで、その核心部分を掴んでいきたいと思います。では早速、まず基本からいきましょうか。外リンパ瘻というのは内耳の外リンパ液。これが漏れ出すことで難聴とか耳鳴り、めまい、こういうのを引き起こす状態ということですね。
ゲスト:ええ、そうです。長年ですね、この漏れ自体をその手術とかで直接確認するのが非常に難しかったんですよ。資料見ても「ポン」っていう音、ポップ音ですね。とか水が流れるような耳鳴り。こういうあの典型的な症状を訴える方って実はすごく少なくて、それぞれも2%とか7%とかその程度らしいんですね。
ホスト:へえ、2%とか7%ですか。
ゲスト:ええ。だから症状だけだとなかなかわからない。
ホスト:なるほど。特徴的なサインが少ないと診断はやっぱり手探りになっちゃいますよね。そこで登場するのがこのCTP、コクリントモプロテイン。これが状況を変えたという。
ゲスト:まさにそうなんです。CTPっていうのは外リンパ液に特異的に含まれるタンパク質でして、これを中耳とか、まあ鼻の奥とかから検出できれば液が漏れてるっていう客観的な証拠になるわけです
ホスト:おお、客観的な。
ゲスト:ええ。これで診断の確実性っていうのが飛躍的に上がったんですね。ただ、これもあの万能というわけではなくてですね。CTPが検出されない、陰性でも外リンパ瘻を完全に否定できるわけじゃない。それに中間値っていうちょっとグレーゾーンみたいなのもありますし、手術前は陰性だったけど、手術中に調べたら陽性だったなんてこともまあ、あるみたいで、解釈には注意が必要ですね。
ホスト:うーん、それでも大きな進歩ですよね。じゃあ実際どれくらいの人がこのなんていうか隠れた外リンパ漏の可能性があるんでしょうか?
ゲスト:そこがですね、原因不明とされている急性の感音難聴。あの音を感じ取る内耳とか神経の問題で起こる難聴ですね。この患者さんの約22%でCTPが陽性だったと報告されているんです。
ホスト:22%!5人に1人以上ってことですか?
ゲスト:そうなんです。特にあの高齢の方とか、難聴の程度が重い方、こういった方で陽性率が高いという傾向もあるようです。
ホスト:へえ。原因不明とされたものの中にそんなに?
ゲスト:ええ。で、さらにちょっと衝撃的なのが、はっきりした、まあ原因がない特発性、カテゴリー4と分類されるケースですけど、別の研究なんですけどね。発症してから聴力がどんどん悪化していくタイプの急性難聴で、手術に踏み切った症例。これを調べたら、なんと9割以上!陽性が61.8%で中間値が32.4%。合わせると94.2%ですね。ここでCTPが検出されたと。
ホスト:9割、ほとんどじゃないですか!
ゲスト:そうなんです。しかも、そのほとんどが原因不明とされたそのカテゴリー4だったというんですね。これはつまり、いわゆる突発性難聴と診断されているケース。特に経過中に悪化していくような場合、そのかなりの部分に外リンパ瘻が実は隠れている可能性があると。
ホスト:うわぁ、それはかなりインパクトありますね。見過ごされてきた可能性を考えると、そうなるとますます診断の手がかり、これが重要になってきますね。資料にはどんな点が挙げられていますか?
ゲスト:あの音の自覚っていうのは稀なんですけど、やっぱり問診が重要ですね。くしゃみとか、鼻を強くかんだとか、重いものを持ち上げたとか、何か急に体に圧力がかかった状況がなかったか。あとは頭を打ったとか、そういう外傷の経験とかですね。
ホスト:なるほど、きっかけになるような出来事ですね。
ゲスト:ええ。それから、寝た姿勢での聴力検査。外リンパ漏だと低音域が悪化しやすい傾向があるようです。あとは特定の画像検査ですね、HRCTとかMRI。そしてもちろんこのCTP検査。これが診断の大きな柱になってきますね。
ホスト:ふむふむ。それで治療はどうなるんでしょう。見つかったらじゃあすぐ手術ってわけでもないんですか?
ゲスト:そこがまたちょっと難しいところで、発症してからの期間、これが結構鍵になるんです。ある施設では、発症1ヶ月っていうのを一つの目安にしてるみたいですね。
ホスト:1ヶ月。
ゲスト:ええ。それ以内だったらまずは安静入院。頭を高くして寝るとか、いきまないようにするとか、そうやって自然に漏れがふさがるのを期待すると。その施設だと、改善率はだいたい48%くらいとのことです。
ホスト:48%、約半分ですか・・・。思ったよりはちょっと低い気もしますけど。でも、手術を避けられる可能性があるなら大事な選択肢ですよね。で、もし1ヶ月経ってもダメだったり、安静にしてても良くならなかったら?
ゲスト:そういう場合ですね。その場合は、手術。つまり内耳窓閉鎖術。内耳の漏れている箇所を塞ぐ手術ですね。これが検討されます。ただ、手術の目的も時期によってちょっと変わってくるんですよ。発症してすぐ、早期であれば、聴力を改善させるのが主な目標になることが多い。でも時間が経ってしまっている場合は、めまいのコントロールとか、これ以上聴力が悪化するのを防ぐとか、そちらが主目的になることも多いようです。
ホスト:なるほど、目的が変わるんですね。で、その手術の効果っていうのはどうなんですか?
ゲスト:これがですね、報告によってかなり幅があるんです。ヨーロッパの報告なんかだと、聴力改善率が5%から26%とか、ちょっと低い数字もありますけど、国内のある施設なんかだと84.6%っていう非常に良い成績も報告されていて。
ホスト:84.6%。
ゲスト:はい。
ホスト:それはすごいですね。
ゲスト:ええ。特に、発症してから聴力が悪化していくタイプ。これに早期手術を行うと、聴力の改善が良い傾向にあるとも言われていますね。あとこれも重要なんですが、CTPが陽性だった場合、ステロイド治療の効果があまり期待できないっていうデータもあるんです。
ホスト:ああ、なるほど。
ゲスト:だからそれが治療方針、つまり安静にするか、早く手術するかっていう選択にも関わってくるわけです。
ホスト:なるほど。CTP陽性かどうかが治療選択にも影響すると。一方でもう一つの資料、あの、森上鍼灸整骨院のアプローチ。これも紹介されてますけど、これはどういう位置づけなんでしょう?
ゲスト:ああ、これはですね、主にその標準的な耳鼻科の治療でなかなか改善が見られない方とか、そういう方を対象にしたアプローチということのようですね。鍼治療によって自律神経のバランスを整えて、体が本来持っている治癒力、これを高めることを目指すと、そういう考え方です。サーモグラフィーなんかも使うと書いてありますね。まあこれは医学的な主流の治療とは異なる代替的なアプローチの一つとしてこういう選択肢もあるんだなという情報として捉えるのが良いかと思います。
ホスト:なるほど、そういう位置づけですね。まとめに入りたいと思いますが、外リンパ瘻は、CTP検査の登場で客観的な診断への道がかなり開けてきた。そして原因不明とされてきた急性難聴、特に悪化するタイプの中には、実はかなりの割合で存在している可能性が見えてきたと。そういうことですね。
ゲスト:ええ。まさしくその通りです。そして治療に関しては、発症からの時間との闘いとの側面もあって、安静で様子を見るのか、手術に踏み切るのか、手術するならどのタイミングで何を主な目的とするのか、非常に慎重な判断が求められるということですね。
ホスト:はい。では最後に、あなたに考えていただきたい問いかけを。
ゲスト:これだけ多くの原因不明とされた難聴。特に悪化していくケースの背後に、外リンパ瘻が隠れている可能性が高いとしたら、今、急な難聴とか変動するような難聴を感じた場合、最初の診断プロセスっていうのはどうあるべきなんでしょうか。あるいは、もしご自身とか身近な方がそうした症状に見舞われた場合、お医者さんに対して、特にどの点を確認するように働きかけるべきだとあなたは考えますか。?
※出典1 全日本病院出版会 ENTONI No.308 「どう見分ける?外リンパ瘻」
※出典2 全日本病院出版会 ENTONI No.94 「外リンパ瘻の診断と治療」
※出典3 森上鍼灸整骨院 「治療に対する考え」